
SNSやマッチングアプリで知り合った相手が、実は高校生だった。会う約束をした、あるいは実際に会ったところ、後日、保護者から連絡があり、慰謝料を請求された――。
未成年が関わる事案は、成人同士のトラブルとは法的な評価がまったく異なり、より重大な結果につながる可能性があります。この記事では、そのリスクの全体像と、取るべき対応・避けるべき対応を、冷静に整理します。
想定されるご相談
SNSで知り合った相手とやり取りを重ね、会う約束をした。後日、相手の父親を名乗る人物から連絡があり、「娘は高校生だ。慰謝料を請求する。警察にも相談する」と言われた。相手は18歳だと言っていたし、自分は年齢を知らなかった――。
大前提:「同意があった」は通用しない
未成年者との性的な関係については、次のような主張は、原則として責任を免れる理由にはなりません。
- 相手から誘ってきた、相手も望んでいた
- 相手が、自分は成人だと言っていた
- プレゼントや金銭を渡す約束だった、あるいは対価を渡して合意の上だった
「年齢を知らなかった」という主張が認められるかどうかは、年齢確認の有無や方法、年齢を推測させる事情(プロフィール、会話の内容、外見)など、具体的な状況によって判断されます。単に「聞かなかった」「言われなかった」というだけでは、認められない可能性が高いと考えておくべきです。
刑事上のリスク
問題になり得る主な刑事リスクは、次のとおりです。どの法令が関わるかは、相手の年齢(16歳未満か、16歳以上18歳未満か)、実際に会ったか、何をしたか、対価の約束があったかによって変わります。
- 不同意わいせつ罪・不同意性交等罪(刑法176条・177条):相手が16歳未満の場合、同意の有無にかかわらず成立します(13歳以上16歳未満の場合は、行為者が5歳以上年長であるとき)。出会ったのが高校1年生の場合は、15歳も含まれるため極めてハイリスクです。
- 面会要求等罪(刑法182条):16歳未満の者に対し、わいせつの目的で、威迫・偽計・誘惑、拒まれたにもかかわらずの反復、金銭等の利益の供与・約束といった方法で面会を要求した場合に成立します。実際に会っていなくても、やり取りだけで問題になり得る点が極めてハイリスクです。
- 児童買春罪(児童買春・児童ポルノ禁止法4条):18歳未満の者に対し、対償を供与し、またはその約束をして性交等をした場合に成立します(5年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金)。
- 青少年保護育成条例違反:都道府県の条例で、青少年(18歳未満)に対する淫行やわいせつ行為を処罰しています。内容や罰則は、自治体ごとに異なります。
つまり、「会う約束をしただけ」の段階と、「実際に会い、何かをした」段階では、法的な評価が大きく違います。まずは、どこまで何があったのかを、正確に整理することが最優先です。
民事上のリスク(保護者からの慰謝料請求)
未成年者本人が受けた被害については、親権者が法定代理人として、本人の損害賠償を請求できます。また、事案によっては、保護者自身の精神的苦痛についても、慰謝料が問題になる場合があります。金額は、行為の内容、相手の年齢、被害の程度によって大きく異なり、一概には言えません。
絶対にやってはいけない対応
- 相手の未成年者に、こちらから連絡や接触をする:謝罪や口止めの名目であっても、重大な二次被害や、罪証隠滅を疑われる行為になります。
- メッセージ、アカウント、写真等を削除する:証拠隠滅と評価され、勾留の判断などでも不利になります。
- 保護者の要求に応じてその場で高額な示談金を支払ってしまう:そもそも保護者を名乗る美人局の可能性もありますし、きちんとした示談をしない場合、延々とゆすられてしまう可能性があります。
取るべき初動
- 事実関係の整理:いつ、どのアプリで知り合い、何を話し、実際に会ったか、その際に何があったかを、時系列で正確に整理します。
- 警察への通報状況の確認:すでに被害届が出されているか、警察から連絡があるかを確認します。警察から連絡が来た場合は、取調べの前に弁護士に相談してください。
- 連絡窓口を、弁護士に一本化する:保護者との連絡は、すべて弁護士を通じて行います。
- 被害者側の意向を最優先に、対応を検討する:示談は、被害者側が応じて初めて成立します。相手の意向を尊重した、誠実な対応が前提です。
- 自首を検討する:自首をして刑事手続きを開始することで相手の過剰な要求を軽減できる可能性があります。
弁護士に依頼するメリット
- 刑事・民事の両面から、事案の位置づけと見通しを、早期に把握できます。
- 保護者との交渉の窓口になり、相手方の意向に配慮しながら、適切な対応を進められます。
- 警察への対応(自首、取調べ前の助言、書面提出など)を、法的に整理して進められます。
※本記事は一般的な法的情報の提供を目的としたもので、個別の事案についての法的助言ではありません。冒頭の事例は、実在の事案ではなく、よくあるご相談を踏まえた想定事例です。結論は事実関係や証拠によって大きく変わるため、具体的な対応は弁護士にご相談ください。